*2007年05月08日

レンタルビデオ屋の思い出

GW は特に予定もなく家でゴロゴロしてたり、気まぐれに釣りに行った程度だった。 そんな暇な連休だからレンタルビデオ屋にも行ったりしてたのだけど、その時のある光景。

適当に準新作の映画を選びレジに並ぶと、前の男性は AV を大量に借りようとしてる人だった。 レジには可愛い女性の店員。 私も昔レンタルビデオでバイトしてた事があったけど、店員側としてはこんなの日常だから何とも思わない。 でも客側の視点になってみると 「恥ずかしいだろうなあ」 という気持ちがわかる気がする。
この日は普通の映画だったけど、稀にZ級映画好きの血が騒ぎ ヴァンパイア侍チアリーダー忍者ヴァンパイア vs ゾンビ やらをまとめて借りる日があったりするのだけど流石に恥ずかしい。
そんな時にふと足元にコナン君が現れ、「ねぇねぇ、探してた映画おねーさんに取られちゃってるー。きれーなおねーさんでもこんなのみるんだねー、ふしぎだねー」 なんてわざとらしく言おうものなら逆上して蹴り殺すであろう。

で、その人の番が来たのだけど、どうやら五本の AV の中に新作が混じっていたらしく、店員に確認をされている。
私の経験だと AV を借り慣れてない男性客は、こうゆうシチュエーションになると冷静を装いスムースに会計を済ませ店を出たがる。 動揺してないと思わせる為に返事も 「あ、はい」 と変に明るく作ったような落ち着いた声で返し、去る時も足早でなく、さりげなく新作映画のパッケを手にして見てる振りとかもする。 ともあれ動揺を押さえ込んでいるので、それを察して手早くしてあげないといけない。

旧作4本・新作1本の状態でいいとの事で会計を済まそうとすると、不運なことに財布の中にお金が足りなかったらしい。 まるでベタなドラマみたいな展開を前に私も笑いを堪える。 押さえ込んでいた動揺が一気に噴き出したのか慌てふためいている男性客、きっと激辛カレーを食べて頭の毛穴が全開になって汗が吹き出てそうな状態なんだろうなぁ… と後ろで眺める私。
そんなあたふたした男性を前に店員は笑ってしまってた。 もう首筋が真っ赤になってる男性客。 そして男性客は 「またにします…」 とそそくさと逃げるように店を出ていった。

…可哀想すぎる、だめだろ店員、もうあの客ぜったい来ねーぞ、何があっても機械の如く振舞えよ。 ワタクシだったら、たとえ安倍総理が貯金箱片手にお忍びでロリエロアニメを借りにきても動じない自信があるぞ。

レンタルビデオ話ついでに続けてみる。 上にもチラっと書いたし放置状態のブログでもネタにしたことがあるけど、以前小さなレンタルビデオ屋でバイトをしていた。
その前にも大手チェーンのレンタルビデオ屋でバイトしたのだけど、大手ゆえにお堅く規律も厳しい。皆が決められた作業をやってるだけで、好きな分野なのに全然楽しくない。 映画は好きな分野だから、お客さんと映画の話しをしたりアットホームな感覚でやってみたいという想いが強くなる。
結局半年くらいで大手を辞め小さな店に行くことになるのだけど、大手でやってた経験もあってか歓迎され居心地もよかった。 給料は若干落ちるけど仕方ない、まあバイトだし、どうせなら楽しくやる方がずっといい。

そんな願い通りのアットホームな店でバイトをしてたのだけど、ある日、東南アジア系の女性三人がやってきた。 格好からして明らかにお水関係とわかる。 見覚えのない客だし 「入会さんかな?」 と段取りを構えていると、男の子の店員が 「ぼく英語できませんよ…」 と裏方に逃げようとする。 こら待て、読み書きなら何とかなるけど私も会話は… と困惑状態。
案の定入会だったのだけど、片言の日本語と英語ができる様子で何とかコミュニケーションが取れた。 が、住所をうまく伝えられない様子で、地図を広げたり、その人達の保護者(?)に電話で確認したりで、もう大変な状態。

フィリピンからの出稼ぎで複数でアパートに住んでるという絵に描いたような環境の人達っぽいけど、大抵そういった人の入会は渋る。以前いた大手なら確実にお断りしていた。 差別と言われれば否定できないけど、身元がしっかりしてるとか、ある程度の信用ある相手じゃないとレンタルという商売は成り立たないもの。
小さな店だから厳格なルールは無いんで入会させるか否かは受け持った私の判断に掛かってたのだけど、値段や返却日のことを一生懸命に聞いてくる姿にいい加減な人じゃないかも… と入会して頂くことにした。

"吹替版" と紙に書いて渡し、「この文字が書いてるのは日本語だから書いてないのが英語」 と伝えたりで説明も数倍大変だったけど、返却日もちゃんと守ってくれるし、巻き戻しもちゃんとしてくれてた。 一部の横暴な客よりはずっと良いお客さんだった。
昼間は暇なのか、一人だったり三人だったりで来店の頻度が多かったのだけど、へぼい英語+日本語を交えてよく話す間柄になり、「サシイレ」 とか言って肉まんやタイヤキを持ってきてくれたりもした。 「英語が…」 とか言ってた男の子もなんだかんだと仲良くなってた。

しばらく経ったある日、その人達は 「帰ります、ありがとうネ」 と言ってきた。 どうやらフィリピンに帰るらしい。 そして何故か会員カードを私に返そうとする。
「持ってていいんです、また使ってください」 「また日本に来てね。次はもっと長く居れるといいね」 とヘボい英語で返すと泣きながら抱きつかれた。 ハイテンションで色々喋ってるのだけど、英語じゃない言葉が入ってるからワケわからん状態。
もらい泣きしそうなのを堪えながら、思わず "レンタル中" のプレートの付いたゴムをその人達にあげた。 なんでそんなモノをあげたのか自分でも理解できないけど、まあ喜んでくれてたんでいいや。

その手の人達ってテレビでは悲惨な結末とか不法滞在やらで今まで良いイメージが無かったのだけど、私的には良い経験になったな、と思えた出来事。
NHK で東南アジアの特集をやってるのを見て、なんとなく思い出したそんなお話。


*Trackback on "レンタルビデオ屋の思い出"

このエントリーのトラックバックURL: 
スパム対策の為、このエントリーへのハイパーリンク 【 http://lipz.oops.jp/archives/2007/05/post_145.shtml 】 が無いトラックバックはエラーが発生します.

"レンタルビデオ屋の思い出"へのトラックバックはまだありません。